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「がんばろう、日本!」国民協議会
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Index
- 長引く「非常時」(コロナ、戦争、アベノミクス・インフレ)のなかでの参院選
〝いのちとくらし〟の視点で民主主義の復元力を
●「盛り上がらない選挙」「争点が見えない」って誰が言ってる?
●〝いのちとくらし〟のアジェンダ設定から、政治・経済・安全保障の転換を
□ おすすめ 投票の参考に&映画
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長引く「非常時」(コロナ、戦争、アベノミクス・インフレ)のなかでの参院選
〝いのちとくらし〟の視点で民主主義の復元力を
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【「盛り上がらない選挙」「争点が見えない」って誰が言ってる?】
参議院議員選挙が始まった。マスコミは「盛り上がらない選挙」と言うが、メディア受けする「お祭り選挙」がはたして「よい選挙」なのか。ジャーナリストの尾中香尚里氏は、「自民党をぶっ壊す」で「盛り上がった」01年参院選、郵政民営化というシングル・イシューで「盛り上がった」05年総選挙も、そこで示されたとされる「民意」は、選挙とは何の関係もない自民党の論理で、結果としてゆがめられたと指摘する(PRESIDENT Online 6/21)
09年総選挙も、「国民が(というよりメディアが)『自民党が政権を失い下野する』という『ドラマ』を求めて選挙を『盛り上げた』印象が拭えない。民主党政権に対し、自民党政権の何を変革し、どんな新しい国家像を打ち立てることを期待しているのか、メディアも国民も十分に問いかけることなく、ただ『お祭り』のように政権交代を実現してしまった」と(同前)。
盛り上がってガッカリの後には、「政治不信」や「どうせ変わらない」というあきらめ。投票率50パーセントでも、選挙で勝てば何をやってもいいという多数決民主主義、選挙独裁が幅を利かせた。こうした政治主導、強力なリーダーシップは、しかしコロナ禍において国民の〝いのちとくらし〟を守るうえで、まったく機能しないことが露呈した。一方コロナ禍では、政治は他人事でも〝いのちとくらし〟には自分事として向き合わざるをえない、というところからの「民主主義って何だ」も始まった。
今回の参院選は、コロナ、戦争、アベノミクス・インフレという、かつてないほど複合的な「非常時」が長引くなかでの選挙だ。「機能しない」これまでの政治を、〝いのちとくらし〟の観点から検証し、新しい政治のありかたや方向性を見出していく転換点にできるか。
既存メディアをはじめ永田町の権力闘争や政局を「政治」と考えている人たちは、「盛り上がらない」「争点が見えない」と言うだろう。そこからは〝いのちとくらし〟に自分事として向き合い、メディアや政治家に任せず自分たちで争点を可視化しようという動きは見えてこない。
「みんなの未来を選ぶためのチェックリストhttps://choiceisyours2021.jp/。
作ったのは、コロナ禍でさまざまな課題に向き合ってきた市民有志。リストを作るのは21年衆院選に続いて2回目。候補者の演説や報道では大きく取り上げられないテーマを含め、自分たちが大切だと思うことを取り上げている。昨年の衆院選ではページビューが100万回を超え、SNSでも広く拡散されたという。
発起人の一人、町田彩夏さんは自分たちで質問を練って各党に聞く意味をこう述べている。
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「『争点がないですよね』というのに対する対抗ですね」と答えた。メディア関係者から「今回の選挙は争点がないですよね。全然盛り上がらない」と言われた経験があるからだ。
たぶん、そのメディア関係者は、政党がライバルとの違いを鮮明にアピールできていないといいたかったんじゃないだろうか。一方、町田さんのいう争点は、一人ひとりの課題を指しているようにみえる。こんなふうにいっていた。
「こんなにも目の前にたくさん、埋もれているかもしれないけれど課題がある。ないんじゃなくて、見えていないだけですよと伝えたいし、それを『見える化』することが私たちの意義かなと思います」。(松下秀雄 論座6/27)
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選挙の争点は政党や候補者、メディアに「与えられる」ものではなく、フォロワー・有権者が自分たちでつくりだしていく。そうした声に耳を傾け、公約をブラッシュアップしていく候補者。杉並区長選はこうして展開された。
候補者が決まらないまま「住民思いの区長を作る会」が立ち上がり、学習や宣伝活動を通じて児童館廃止や再開発問題を争点に押し上げた。争点づくりをマスコミに任せず、住民自らが浮上させたところに画期がある。マスコミや既存政党の「現職圧勝」という下馬評は、ここが見えていなかった。また投票率が5ポイント上がったことが僅差での勝因といえるが、これも投票率が上がると野党系に有利という話ではなく、住民主体で政策論戦中心の選挙戦を行った結果、投票率が上がったというべきだろう。
選挙では市民がマイクで訴え、それを最前列で候補者が聞きながら公約がブラッシュアップされていったという。「自分たちの声を聞いてくれる」という共感と期待が有権者のなかに広がったのだろう。
岸田総理が掲げる「聞く力」は、省庁や利害関係者の調整の範囲内での「聞く力」なのか、「制度の外」の声にも耳を傾けるのか。政権の目玉である「新しい資本主義」が新自由主義からの転換たりえるかは、後者にかかっているのではないか。
あるいは立憲民主党の掲げる「生活者目線」は、青空対話集会での「制度の外」の声を、どう政策に反映させることができるのか。〝いのちとくらし〟の視点から政府・与党をチェックし、有権者が可視化した争点を政策転換に押し上げていくことができるか。
参院選の後は三年間、大きな国政選挙はないとされるが、来年には統一地方選がある。長引く「非常時」(コロナ、戦争、アベノミクス・インフレ)そして平成日本の衰退に否応なく直面せざるをえないなかで、民主主義の復元力が試されている。
【〝いのちとくらし〟のアジェンダ設定から、政治・経済・安全保障の転換を】
民主主義の優位性とはシステムの透明性、公平・公正性であり、それが損なわれていると主権者が考えれば是正する仕組みがあることが民主主義の強みだ。日本では90年代の改革の結果、新自由主義とともに政治の私物化が幅を利かせた。システムの透明性、公正性が損なわれていると主権者が考えたときに、それを是正できるか。コロナ禍でのさまざまな不条理を経験した後の参院選、そしてウクライナ侵略の中で迎える参院選は、こうした民主主義の復元力に関するはじめての挑戦でもある。
平成の政治改革は、政権交代可能な二大政治勢力モデルをめざしたが、現実には「一強多弱」に帰結している。このなかで改めて問われるのは、野党の役割、存在意義だろう。
数で決着をつける、選挙で勝てば何でもできる(勝てば官軍)という多数決民主主義では、「野党は批判ばかり」となり、与野党の攻防は目先の権力をめぐる「見世物」として消費するものでしかなくなる。一方で、野党のいない(存在しない・機能しない)民主主義がどんなものなのか、プーチンのロシアを見れば明らかだ(プーチンも選挙で選ばれている)。
「民主主義にとって多元性を確保し、これを実現するための権力の抑止と均衡の原理には多様なものがある。そのなかでも能動的な主体である野党の役割は重要であり、かつその存在様式も多様であった方が好ましい。議院内閣制を採る日本では立法府と行政府が融合しており、司法も政治的判断を忌避する傾向にあるため、権力抑制を実質的に担っているのは野党とマスメディアとこれを支える市民社会しか存在しない。そうであれば政権交代という手段だけではなく、野党のプレゼンスとコミットメントを高める様々な制度が、今後は考慮されなければならないだろう」(吉田徹「『野党の役割』とは何か」世界6月号)
予算案に賛成する野党、政権をピリッとさせる野党、内閣不信任に賛成しない野党も出てきたが、野党にとっては政権の検証、批判、提案は切り離せない。必要なことはそれらを通じて、〝いのちとくらし〟の視点から政権とは異なるアジェンダ設定ができるかだ。
岸田政権が掲げる「新しい資本主義」は、少なくとも建前としては次のように語られる。「『新しい資本主義』には、二つの目標がある。一つは既存の資本主義を進化・発展させるということ。これは資本主義がレッセフェールから福祉国家、新自由主義と移り変わり、いよいよ次のバージョンアップが必要だということ」「もう一つの目標は、資本主義をバージョンアップすることで、権威主義的な体制に打ち勝つということ。~中略~市場がもたらす弊害を国と市場の両方で是正し・・・権威主義国家に対峙できるようにしていく」(木原官房副長官 nippon.com 6/13)。
これに「脱成長」を対置する立場も可能だが、〝いのちとくらし〟の視点から政権を検証・批判し、異なるアジェンダ設定を提示することも野党の重要な役割だろう。民主主義が権威主義との二分法で語られるだけなのか、人権などの普遍的な価値から語られるのか。経済がGDPや安全保障の観点でのみ語られるのか、ジェンダー平等や多様性の問題とも地続きで語られるのか。
安全保障の議論も変わる。「ウクライナでの戦争を契機に、食糧安全保障とエネルギー安全保障が、NATOサミットでもメインストリーム化か。明らかに従来とは、安全保障を考える際の複雑さが増した様子。単なる『集団防衛』(第5条)をそれ自体他と切り離すのではなくて、連動していることの全体性、多面性を議論する視野が必要」(細谷雄一 @Yuichi_Hosoya)
ちなみにこの議論が行われたのは、ドイツ外相、カナダ国防相、スペイン外相の女性のみによるセッションとのこと。「気候変動、ロシア、中国、この中でこれからどれが最も重要かという司会からの質問に、カナダ国防相、これらを切り離して考えるのではなく、相互に連関して考える必要があり、なので質問が適切ではないのではないかと指摘」(細谷)というエピソードは、安全保障論の転換を端的に表しているのではないか。
政治や経済、安全保障の問題設定が、これまでとは大きく転換しつつあるなかで、目の前の政権運営に追われる与党に対し、野党には政権とは異なるアジェンダ設定が求められる(ボトムアップで)。「もし野党が存在しないなら、発明しなければならない。野党が足りないのであれば、増やさなければならない。そして、野党が弱いのであれば、強くしなければならない。それが民主主義のひとつの定式なのだから」(吉田 前出)。
〝いのちとくらし〟の視点から民主主義の復元力を。
(「日本再生」518号 一面より)
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投票の参考に
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● 【参院選2022】 | ヤシノミ作戦 (yashino.me)
● みんなの未来を選ぶためのチェックリスト (choiceisyours2021.jp)
● 選挙は「私の争点」に政治を振り向かせる絶好のチャンス - 松下秀雄|論座 - 朝日新聞社の言論サイト (asahi.com)
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映画 「憂鬱之島」
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映画『Blue Island 憂鬱之島』公式サイト (blueisland-movie.com)
雨傘運動を描いたチャン・ジーウン監督が、三世代の視点からの香港の今をドキュメンタリーとフィクションを交えて描く。国安法によって香港での作成、上映ができなくなり、日本からの支援で完成した香港・日本の合作。