メルマガ♯がんばろう、日本!         №283(22.3.1)

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  • ロシアはただちに無条件で停戦せよ。

国際秩序を破壊する暴挙を押し返す民主主義社会の強靭性を!

●国連憲章を踏みにじる暴挙 21世紀の国際秩序への転換を

●民主主義と市民社会の強靭性が試されている

  • 総会【会員限定】のご案内

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ロシアはただちに無条件で停戦せよ。

国際秩序を破壊する暴挙を押し返す民主主義社会の強靭性を!

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【国連憲章を踏みにじる暴挙 21世紀の国際秩序への転換を】

ロシアによるウクライナ侵攻がついに始まった。これはヨーロッパの一角での紛争ではなく、二度の世界大戦という犠牲を伴いながら国際社会が培ってきた原則――主権の尊重や武力による現状変更を認めない――を真っ向から否定する暴挙にほかならない。たしかに現実に国際政治を動かしているのは「理想」や「理念」よりも、ほとんどの場合はパワーゲームだろう。しかしそれでも踏み外してはならない一線はある。

国連安保理の緊急会合では、約80か国が共同で提案した決議案が採決にかけられた。決議案はロシアの軍事侵攻に強い懸念を示したうえで、ウクライナの主権と領土の一体性を改めて確認、ロシア軍の撤退を求めるものだが、中国、インド、UAEが棄権し、ロシアが拒否権を発動して否決された。

共同提案国が80か国に上ったように、国連はロシアの暴挙を容認しないという国際的な意思を示す場となっているものの、一方でロシアの拒否権発動にみられるような「限界」も示されている。むき出しのパワーゲームの時代に逆戻りするのか、それともこの試練のなかから平和や人権、自由に基づくより強靭な21世紀の国際秩序の糸口をつくりだしていくことができるか。私たちは大きな歴史的転換の時代を生きている。

国連のグテーレス事務総長は、国連は戦争から生まれ、戦争を終わらせるためにできた。きょう目的は達成できなかったが、私たちは決してあきらめない」と語っている。

ケニアのキマニ国連大使は安保理の緊急会合の演説で、軍事力をふりかざしてウクライナ東部の「独立」を承認したロシアに対して、帝国主義によって分割されたアフリカの苦難の歴史に比して正当化できないと述べた。アフリカ諸国は独立する際に、民族や宗教の同質性に基づく国家を追求して何十年も戦争を続ける代わりに、植民地帝国によって分割された国境を受け入れることで、新たな政治的経済的統合をめざしたとしたうえで、ウクライナ東部で「独立」を望む声が多いというロシアの主張に対して、同胞との一体性を力ずくで追い求めることをケニアは拒否する、私たちは二度と支配や抑圧の道に陥ることなく、今はなき帝国の残り火から回復を遂げなければならないと述べた(毎日2/24)。

ケニア国連大使の演説は、国連憲章に代表される国際社会の秩序は戦勝国が押し付けたものでもなければ、先進国が与えたものでもなく、国際社会全体が多年の努力によって維持してきたものだということを端的に示している。

ウクライナ東部を「ジェノサイド」の危機から救うため、というプーチン氏の言い分は常軌を逸しているとしか言いようがないが、その発想は19世紀の勢力分割にほかならない。

「プーチン氏は19世紀に欧州で大国が繰り広げた『勢力分割』の発想で、安保秩序を考える。背景には独特な『主権国家』の論理がある。核兵器を有し、同盟に頼らず自らの意思で自らの安全を確保できる国を『主権国家』、できないウクライナや日本を『半主権国家』とし、『主権国家』は『半主権国家』を犠牲に勢力圏を確立する必要があるとの考えだ。国連憲章に基づく国家の『主権』や『自決権』と根本的に反する」(細谷雄一 2/23産経)。
 軍事侵攻を背景に自らに都合のよい政権(傀儡政権)を打ち立てようとする手法は、まさに19世紀型帝国主義のものであり、第一次大戦後には明確に否定されている(民族自決権)。国連憲章に代表される20世紀の国際秩序は、こうしたことのうえに営々と築かれてきた。(もちろんその理念に反する事態はあったが。)

ロシアがここまであからさまな国際秩序の破壊行為に出たのは、欧米が最初から軍事力行使のオプションを排除していたからだという見方がある。ロシアに対する軍事力の行使は第三次世界大戦、それも核戦争の危険をともなう可能性がある。21世紀の国際秩序は、その危険を未然に封じるところからつくりあげていかなければならない。

そのためにも、ロシアの侵攻に対して国際社会が一致してこれを許さないという立場を堅持すべきだ。ヒトラーがチェコのズデーテン割譲を要求して国境に軍を展開したとき、対独宥和政策を取る英仏伊は戦争回避とひきかえにズデーテンを差し出した。その帰結がどうなったか、私たちはよく知っているはずだ。

藤原辰史・京都大学准教授は、こうしたパワーポリティクスの背景に、当該地域の人々の生活や文化、歴史に対する無理解があったのではないかと指摘する(2/24 毎日)。21世紀の今日、私たちはSNSなどを通じてウクライナの人々はもちろん、ロシアで「戦争反対」の声を上げる人々の〝顔〟を知ることができる。そこに暮らしている彼ら・彼女らを思い浮かべることから、小国を大国間のパワーゲームのカードにしない外交的解決の基盤を作り出したいと願う。

【民主主義と市民社会の強靭性が試されている】

ロシアの侵攻に対して市民はウクライナ軍とともに各地で抵抗しているという。それにともなう大きな犠牲を思うと、胸が痛む。同時に私たちは長期戦を覚悟しなければならないだろう。

短期的にはロシアは軍事的に優勢になるかもしれない。しかし国際社会は絶対に、それを既成事実として認めてはいけない。国際社会が行使できる力は、今のところ経済制裁だ。欧米は国際決済システム・SWIFTからロシアの複数の銀行を排除する方針で合意した。これはこれまでにない措置とされている。軍事力行使のような即効性は難しいが、ロシアに戦争の中期的なコストを思い知らせて行動を変えさせることを目指すべきだろう。

その際のポイントの一つは市民、市場の持久戦への忍耐がいつまでもつかだろう。強力な経済制裁は両刃の剣だ。SWIFTからのロシア排除は、天然ガスや小麦の輸入などでの自国経済への痛みも伴う。折しも世界的なインフレで、各国とも物価はじわじわと右肩上がりになっている。ロシアの天然ガスに依存するドイツは、これまで二の足を踏んでいたノルドストリーム2(天然ガスパイプライン)の承認手続きを停止した。ベアボック外相は「ヨーロッパの平和と自由に値札は付けられない」と述べたが、まさに私たちの市民社会が試されている。

あるいは戦禍を逃れてきた人々への支援。周辺国はいち早く避難民の受け入れを表明しており、日本も支援に全力を尽くすべきだが、避難が長期化した際には社会が不安定化するリスクもある。シリアやアフガンからの難民を積極的に受け入れてきたスウェーデンは、財政負担と治安の悪化を理由に受け入れ規制に舵を切った。地理的文化的宗教的により近いところからの避難民であっても、それが長期化した場合、社会が不安定化するリスクも考慮しなければならない。そう考えると、市民社会の強靭さ/脆弱性が、国際秩序の安定にもつながっていること、その意味でも私たちが試されているということではないか。(日本の場合、難民認定の異常な少なさや外国人の人権侵害など、国際的な基準からみて改善すべき点が多々ある。)

ウクライナ侵攻は以前から周到に練られた計画だとも言われる。しかし政府批判を徹底的に抑え込んだはずのロシア国内からあがった「戦争反対」の声は、プーチン大統領にとっては誤算だったのではないか。「兄弟」ともみなす地域への武力侵攻に対して、サンクトペテルブルグやモスクワのみならず極東地域など各地で、市民が拘束されることも覚悟で抗議の声をあげた。アスリートや人気テレビ司会者などの著名人もSNSで抗議、ジャーナリストやNPO団体などのオープンレターにも続々と署名が集まっているという。

ロシアで広がる反戦、署名に100万人賛同 えん戦気分増大の可能性も(毎日新聞) – Yahoo!ニュース

かの国で公然と政府を批判することが何をもたらすかを思えば、声をあげたロシアの人々には心からの敬意しかない。それとともに彼らに連帯するためにも、私たちも民主主義をより鍛えなければならない。

独裁や権威主義は、国民の批判に耳を傾けたり、法の支配のような厄介な制約に縛られたりすることなく大胆な手段を取ることができるため、短期的には軍事的優位に立つこともできるかもしれない。他方で民主的な意思決定は時間がかかるし、現在とりうる手段は経済制裁という「ゆるい」ものでしかない。

だが今回の電撃作戦で、プーチン大統領の政治的な勝利は見通せない。国際社会での孤立化が急速に深まり、経済も深刻になるに伴って国内の支持基盤も揺らぐと思われる。独裁者が過ちを犯したときに、それをどうやって正すのか。

民主主義の利点は、時に私たちの選択が誤りであった場合でも、新しい指導者や新しい政策に移行する機会を私たち自身で作り出すことができることだ。単なる多数決ではない、こうした民主主義の利点を自ら棄損することなく、お互いにより発展させていくことが必要だ。

そして日本。憲法や国連憲章に謳われている人権や民主主義、国際協調などの普遍的な価値について、今こそ「タテマエ」ではなく具体的な行動規範に落とし込んでいくときだろう。香港の民主化圧殺、ミャンマーの軍事クーデターに続く今回のウクライナ侵攻は、〝顔の見える友人〟を通じて、人権や民主主義、国際協調などの普遍的な規範を市民社会が自らのものとしていく機会となっているだろうし、そうしていかなければならない。

そのうえで求められるのは、真摯な安全保障の議論だ。ウクライナの次は台湾か、というのはやや短絡的な話ではあるが、アメリカがもはや「世界の警察官」ではなくなった世界で、国際社会の規範とは異なる独自のロジックで「国益」を主張する中国とどう向き合っていくのか。日米同盟さえあれば、という思考停止ではなく、帝国の横暴を無力化するための多様な手段や方法を考え抜く知恵と忍耐力が試されている。

 プーチンが武力行使に踏み切ったのは、民主主義を恐れるからにほかならない(オリシア・ルツェビッチ氏 朝日2/16)。香港やミャンマーでも、民主主義を恐れる側が力の行使に訴えた。こうした暴挙を民主主義の力で押し返し、〝次〟の力の行使を封じるためにも民主主義をさらに鍛えよう。

(「日本再生」514号一面)

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総会のご案内

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第九回総会【会員限定】を、下記のように開催します。ご参加ください。

3月6日(日) 13時から17時

ズームにて (事前申し込み制)

申し込みは、3月4日(金)までに ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp まで

3月5日に、申し込みのあったアドレスにZOOMのURLをお送りします。

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●ロシアのウクライナ侵攻に抗議するオンライン署名 

高校生が始めたそうです。

あなたの声がチカラになります
ウクライナの侵攻に反対します

●こちらも関心を持ち続けていただければ。

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