「がんばろう、日本!」国民協議会
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Index
□ 民主主義の復元力の〝始まりの始まり〟
□ ~人権・ジェンダー平等と変わり始めた社会と
●〝今だけ、自分だけ〟の無党派主義に底を打つ
●人権や民主主義を価値観として内面化する 変わり始めた社会
□ 3.11から十年 原発ゼロ、自然エネルギー100 世界会議
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民主主義の復元力の〝始まりの始まり〟
~人権・ジェンダー平等と変わり始めた社会と
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【〝今だけ、自分だけ〟の無党派主義に底を打つ】
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会、森会長(当時)の発言(女性理事のいる会議は時間がかかる、「わきまえた」女性を入れたい等)は、永田町・経団連界隈の「常識」と、変わりつつある日本社会および国際社会とのギャップ、断絶をあらわにした。
これを失言→炎上→謝罪/辞任で幕引きでは終わらせない、発言を許容している社会構造自体の転換につなげようとする動きも始まっている。
ジェンダー問題などを発信する20代前半から30代の女性11人が「性差別を次の世代に引き継がないため」と、森前会長の発言翌日からオンライン署名をスタート。約十日で15万人以上の賛同者が集まり、大会組織委員会に質問状とともに提案書を提出した。発起人の一人(女子大生)は、「森会長個人の問題に矮小化するのではなく、社会全体の問題ととらえ、変えていく契機にしたい」と語り、組織委員会に対しては、再発防止の取り組み、女性理事4割、組織運営の透明性を要望している。(橋本新会長は、女性理事4割などの改革案をまとめた。)
昨年末、閣議決定された政府の「第5次男女共同参画基本計画」では、指導的地位に占める女性比率を「2020年までに少なくとも30%」という目標を、「20年代の可能な限り早期に30%程度」に先送りし、自民党の決定を受けて「選択的夫婦別姓(別氏)制度」の文言を削除した。選択的夫婦別姓については、すでに国民の七割が賛成しており、2015年に最高裁が国会での議論を促している。何が社会構造の転換を阻んでいるのか、明らかになりつつあるのではないか。
また今回の森発言には、「いいとは思わないけれど」と思いつつ「どうせそういう人だから」、あるいは「自分は当事者ではないから」と、これまでスルーしてきた結果がこれだ、そういうことを終わりにしよう、「これは私たちの問題だ」という声が広まった。社会構造の転換を阻んでいるものは何か、薄々気づきつつも面倒だとスルーする中立ぶった無党派主義、〝今だけ、自分だけ〟の消費者民主主義に底を打つ、そういう歴史的転換の〝始まりの始まり〟にしていきたいものだ。
森氏の発言の際に笑い声があがったように、こうした発言が「場持ち」として容認されたり、「面倒な議論はしたくない」とスルーされてきた結果、どうなったか。「政治という活動自体を軽視し、今のリーダーがダメなら自分たちの候補を探すでもなく、ただ酒の肴に政治家を冷笑する癖を身に着けてしまった、この社会の、多くのメンバーの責任でもある」(神里達博 朝日1/22)にも通底する問題だろう。コロナ後の社会への転換のためには、こうした無責任連鎖の結果に、私たち自身が当事者として向き合うことが不可欠だ。
「森発言」問題でも浮き彫りになったのは、議論なき安定優先、同調圧力で秩序形成という問題でもある。女性議員が「話が長い」「細かいことをチマチマ言うな」と嫌味を言われ、ときには圧力を受けるときの「細かいこと」とは、〝いのちとくらし〟にかかわることだ。では、〝いのちとくらし〟に関係ない「大きな話」とは何なのか? そこで大手を振るのは、政治や社会、権力の私物化にほかならないのではないか。(安倍・菅政権下での不祥事、税金の私物化の数々。)
今年は秋までに総選挙が予定されている。またミニ統一地方選とも言われるように、各地で首長選挙・議会選挙が予定されている。おりしも3.11から十年という節目の年でもある。コロナ禍であぶり出された私たちの社会の脆弱性の延長に、次の十年はありえない。気候変動や災害、感染症といった〝危機〟に対応できる社会や経済の持続可能性は、右肩上がりの時代の延長にも、新自由主義の延長にもないことは明らかだ。
今回の総選挙は、コロナ禍で浮き彫りにされた社会の脆弱性にどう向き合い、転換するのかを問うとともに、首相の虚偽答弁や公文書の改竄、「桜」をはじめとする税金の私物化が発覚してから初めての衆院選でもある。〝今だけ、自分だけ〟の消費者民主主義に底を打つとともに、後から振り返ったときに、「時間はかかったけれど、あのころから転換が始まった」と言えるような未来のために。
【人権や民主主義を価値観として内面化する 変わり始めた社会】
ジャーナリストの浜田敬子氏は、津田大介氏のYouTubeメディア、ポリタスTVで森発言に関連して、自分たちの世代はジェンダー平等を男性に理解してもらうために、少子化対策や経済パフォーマンスの文脈で訴えざるを得なかったが、今回は若い世代がストレートに人権の問題だと声をあげた、(「奴隷の言葉」で語るのは、もうやめよう)という趣旨のことを述べている。ここにも価値観の大きな転換が伺える。
津田氏は森発言を取り上げた朝日新聞(2/25)「論壇時評」で、安倍政権の看板政策であった「女性活躍」について、「堀江孝司は同政権の女性政策はあくまで経済政策の一つで、前首相はジェンダー平等や男女共同参画に否定的な立場だったと指摘する(サイゾーpremium 1/31)」と述べている。
安倍政権で女性の雇用は確かに増えたが、その大半は非正規・不安定雇用だった。その脆弱性は、コロナ禍での医療、介護、保育、福祉の現場で露呈している。飲食や宿泊などのサービス業も女性の就業率が高く、失業や困窮はシングルマザーをはじめ、女性により多くしわ寄せされている[美知子1] 。(この構造の延長に「コロナ後」を描くのか、それともこの構造をどう転換するのか。総選挙ではそのことを問わなければならない。)
「経済的に深刻な状態に直面している人が増えていると感じます。パート収入で家計を補助していた女性がコロナで仕事がなくなった結果、家庭内での力関係が変化し、夫や親など、家族から暴言や暴力を受けるようになったという事例もあります。『外で仕事をして家にお金を入れている人が偉い』『働かざる者食うべからず』というような価値観が強くなっているのでしょうか。専業主婦が当り前だった時代に比べ、女性でも収入がないと家庭に居づらくなるような空気――新しいフィフティ・フィフティの価値観、男女平等のようなものが広がっていると感じることがあります」(東京自殺防止センター理事・村明子氏)(中央公論1月号「女性の自殺率を急増させたコロナ禍の苦難」飯島裕子)。
経済政策としての「女性活躍」は、ジェンダーを「有用性」で捉えることで、むしろ現実にある構造的な差別や不平等を個人の努力の問題にすり替える。「女性活躍」を「自分活躍」と読み替えて活躍する女性の多くは、自分の努力やがんばりのご褒美として社会的・経済的地位を獲得したと考えているし、よく「わきまえて」もいる。
橋本氏の後任として男女共同参画担当大臣に就任した丸川参院議員は、選択的夫婦別姓の意見書採択への反対を地方議会議員に働きかける自民党国会議員の書状に名を連ねており、「個人の信念だ」と答弁した。自身は旧姓で活躍しているのに、それができずに困っている人(圧倒的に女性)には「がまんしろ」と言うのか。(性差別の撤廃に尽力したルース・ベイダー・ギンズバーグ米連邦最高裁判事の後任にトランプ大統領が任命した保守派の女性判事に対して、「RBGが開いたいくつもの扉を通り抜けてきたあなたは、後から来る女性にはその扉を閉じるのか」という声が女性たちから上がった。)
南川文里・立命館大学教授は、アメリカでの多様性の肯定について、次のように述べている。21世紀のアメリカにおいては、多様性は党派・人種を問わず望ましい価値観と考えられており、ビジネスにおいても重要視されている。その一方で、多様性を人種主義の歴史と結びつけて理解する視点が後退し、現在をカラフルに彩るイメージとして推進された。その結果、人種差別は絶対的に許されない価値ではなく、他の政治的要素(経済政策、中絶など)と取引可能な多様な要素の一つと見なされ、人種差別には賛成しないが既存の政治や制度への不信からトランプを支持する、という態度が生まれたと。
そして、効用のみで判断する「浅い多様性」に対し、Black Lives Matter運動に代表される「深い多様性」は、黒人差別の構造が他の人種集団や女性、性的少数者などを排除する仕組みと交差・連動してきたことを問題視し、複合的な差別構造の歴史のなかに、マイノリティの尊厳や権利を見出すことではじめて見えてくると。(論座 11/13)
これにならって言えば、ジェンダー平等は男女の構造的な差別にとどまらず、民族的出自や障害のある・なし、性的少数者など、複合的な社会構造から生じるさまざまな差別のなかに、人々の尊厳と権利を見出し、社会の中の価値観を更新していく営みにほかならないということだろう。
人権条項を持っていないフランス憲法が、条項のあるなしで権利保障の有無が決まるのではなく、権利の担い手である人々の決意と実践によって権利保障の実質は決まるのだという理念に立脚している(参照 馬奈木厳太郎 12/26 論座)ように、これは民主主義をアップデートしていくことでもある。
これまでなら、「森発言」は通り一遍の謝罪で幕引きにされたであろう。今回そうはならずに、これほど幅広い議論を呼び(「福島は原発事故で差別を受けた経緯もあり、差別につながる発言は容認できない」と聖火ランナーを辞退した原発事故被災地の方の声は重い)、人権やジェンダー平等が国益と結びつくとされ、スポンサー企業もコメントを求められ、組織委員会や経団連、自民党などの旧い日本型組織の体質にも、批判の目が向けられるようになった。「失われた三十年」と言われるなかでも、価値観を更新してきた人々や世代が着実に存在していることが可視化されたのではないか。それは言い換えれば、人権や民主主義を、自らの価値観として内面化した人々が確実に存在しているということだ。
民主主義や人権を〝今だけ、自分だけ〟〝自分活躍〟のための消費の対象としてではなく、参加を通じた自治の実践によって不断に磨きをかけ、生活のあらゆる面でアップデートしていくものとしていこう。
(「日本再生」502号 一面より)
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3.11から十年 原発ゼロ、自然エネルギー100 世界会議
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福島第一原発事故から10年、原発ゼロ・自然エネルギー推進の声を
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オンライン 参加費無料
原発ゼロ・自然エネルギー100世界会議~福島原発事故から10年~ (genjiren.com)
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熊谷俊人・前千葉市長が立候補を予定しています。
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