PDFファイル⇒16年6月天秤棒
本庁舎の耐震化対策、市長の姿勢は二転三転 平成32年度完成時期を巡って
6月7日越谷市議会での一般質問で、市長に質問しました。
テーマは、第3庁舎建設の目的と耐震化対策のための本庁舎整備についてです。
越谷市の本庁舎は、震度5強の地震に襲われたら一気に崩壊、倒壊する、埼玉県の自治体の庁舎ではワースト1の建物であり、この間(5年間ほど)議会で再三再四問題視して来ました。
現在も熊本、大分地震で被災により重大な状況がまだ続いています。
今回の地震で、熊本県宇土市役所が地震によって損傷し、一切職員の出入りが禁止され、災害対策本部が庁舎前の広場のテントの中で対応している場面が何度も報道される事態になりました。
地震に対する強度は、IS値で表現されますが、その数値は0,3と聞いています。
(数値が高い程安全。今回の質問準備のため、直接宇土市役所に問い合わせれば分かるのですが、被災証明書の発行さえ困難な現地の状況に、事情を聞くのは当然遠慮したため)
これに対し、越谷市の本庁舎のIS値は、なんと0.16というものでいかに脆弱であることが、すぐにわかります。
しかも、この耐震診断は平成13年に正式に実施されており、歴代市長も執行部も議会も承知している事実でした。
しかし、現在の高橋市長は、この事実を十分認識しておきながら昨年2月に約20億円もの事業費をかけて、第3庁舎を新たに建設してしまいました。
この第3庁舎建設の目的は地震対策とは無縁で、越谷市が中核市に移行するため等の理由でした。
つまり、本庁舎が地震に襲われて出るリスクを少しでも緩和する、と言うことではありませんでした。このため、その危機意識が希薄なため、未だに市長、副市長室は本庁舎の中にあり、震度5強の地震があれば市長自身が被災し、災害対策本部のトップとしての責任や役割を果たすことが出来なくなるのです。
災害自身は天災ですが、災害対策本部の機能が低下することがあれば、そのまま第2次、3次被害が想定されるため、これは人災と言うことになります。
あまりに無計画で唐突で無茶な提案だったのですが、何時もの様に自民党、公明党、民主党(現在の民進党)が賛成して、建設議案は賛成多数で可決されて来ました。
本庁舎建て替えを、答弁したものの・・・
この様な経緯の中、議会では、私をはじめ複数の議員が第3庁舎建設を問題視して来たこともあり、市長は、苦し紛れ(と思えるのですが)に、本庁舎の建て替えを答弁で公言したのです。
(何故本庁舎建設が、第3庁舎建設よりも優先の順位が低いのかは、理由が希薄なのですが)
これを受けて、本庁舎整備審議会が設置され、平成32年度までに完成するのが望ましい、との答申が出されたのが、平成26年です。
そして、昨年9月に市長は、この答申を踏まえて平成32年度の完成を発表しました。
何とか、何時襲われるかわからない地震に(関東地区では、今後30年間で震度5強の地震の発生確率は70%と言われている。熊本では、18%)対策が出来たと、少しほっとしていた矢先、昨年12月議会で私が代表をしている自治みらい所属の菊池議員が、この本庁舎建設について質問しました。
すると市長は答弁で、なんと前言を撤回し、平成32年度完成は約束出来ない、いつ建設できるかも分からない、と言い切ってしまったのです。
このため、本年3月議会で、私は代表質問で再度確認しましたが、市長答弁は、同じ内容を繰り返し、財政のめどが立っていないため、建設が出来ないと。
この間、本庁舎建設に関し、度重なる計画変更について、市長は定例記者会見、市政だより、市ホームページへの掲載は一切ありません。
当然ですが、第3庁舎建設と同様に、議会には説明があるものの、市民には説明も意見聴取もないのです。 (裏へ)
平成32年度建設に戻ったものの、財源や建設計画は、これから?
建設発表から僅か3か月で、これを撤回した姿勢は何故なのか、「安心度埼玉NO1」の公約を掲げて市長選挙や毎年の所信表明に反しないのか、今回の一般質問で市長に質問しました。
ところが、今度は更に前言を撤回して、平成32年度までに建設を完了する、と市長は答弁されました。
何故か、それは今回の熊本、大分の地震の被害状況を受けて”英断”したとのこと。
(つまり熊本、大分地震がなければ何時本庁舎の耐震化が行われるのか全くの不透明だったのですが。)
ただ、私の質問に正面から、今回の地震で方針を転換したとは、答弁されませんでした。
(直接的には、今回の熊本地震を受けて、今議会で議員から質問があると、想定したから、との答弁)
しかも、100億円の建設費に対する、財政のめどが立たないとの理由で、一旦公言した平成32年度建設を撤回したのですから、当然、何故急に財政のめどが立ったのか質問したのですが、「これから庁内で検討する」という答弁が繰り返されただけでした。
ただ、財政の問題もあるので、全体の計画の中で面積や建築単価を縮小し早急に練り直す、との、答弁はありました。
それでは、何時ごろまでに変更計画の目途が立つのか、市民への説明や意見公募はどうするのか、他の事業の凍結や先延ばしが必要となるが、どうするのか等への質問には、一切答えがありませんでした。
勿論、一刻も早く耐震化対策が必要なのは自明のことですが、一体僅か6か月の間に、これほどの大きな地震対策の課題について、市長の方針決定や姿勢が猫の目のように、くるくる変更されるのは何故なのでしょうか。
1日2000人もの市民が来庁する本庁舎が、地震によって崩壊すれば必ず市民や職員に被害が出るのですから、その本庁舎建設方針が、僅か6か月で変更の上、変更したことに、まず市民へのお詫びが必要ですが、残念ながら一言もありませんでした。
今後保健センター(20億円)や大沢地区センター(12億円)等の大型施設建設が目白押しの状況で、財政の見通しがつかないと考えるのは普通の市民感覚です。
また、毎年借金の総額を50億円までとしている既定の方針の変更はないのか。
必要悪との口実で、もしこの上限額を例外的に外して借金すれば、さらに子供たちのツケが増えるのは明確です。
すでに、小中学校の全校にクーラー設置費の55億円もの税金が投入されるのですから。
問われているのは、財政のリスクを含め、市民に徹底して情報を公開すること
正に、優先順位を決定し、そのためには既存の事業の縮小や凍結を決断すること。
そして、この決定に市民自身が参加し、討議して行く、政治はこの市民同士の公共空間をいくつも用意して行く等が問われています。
特に越谷市自治基本条例(越谷市の憲法)には、予算や計画は案の段階から市民に説明し、市民から出された意見には十分配慮して事業をすすめること、と明確に文章で規定してあります。
第3庁舎建設では、審議会の設置はおろか、パブリックコメントさえとらず、記者発表や市政だよりにも掲載されませんでした。
これは、自治基本条例に抵触する、言わば憲法違反ではないのか、とも質問しましたが、市長は、全てを自治基本条例どおりには運用出来いと、答弁されました。(違憲状態でもいい?)
やはり、ここにも立憲民主主義が存在していないことが浮き彫りになりました。
質問時間の100分あまり、この問題にあてましたが、市長の態度は初めから硬化しているように見えました。
第3庁舎に関する私の質問に度々、第3庁舎建設議案が提案され審議された、当時の議事録を見て質問する様に、議場で要請?(答弁)されました。
(つまり、議事録に記載されている様に、当時議会には十分説明をしているのだから、そんな質問をくりかえすな、と聞こえましたが)
こんな発言を4期13年間の中で、市長から初めて受けました。私の質問の内容に当時の質問と重複した点があったかもしれませんが、議会人として、とても残念で、悲しい気分になりました。
(すでに、今回の質問と答弁について本会議の中継録画が越谷市議会ホームページでアップされていますので、ぜひご覧下さい)