9月越谷定例市議会は、9月1日からはじまりましたが、冒頭から「安保法制の慎重審議を求める意見書」を巡り賛否が大きく分かれました。
国会での慎重審議を求める意見書、自民党、公明党、刷新クラブ、保守無所属の会が反対し、6月議会に続き否決
初日に「安全保障関連法の審議に当たり十分な説明と審議を求める意見書」を私と共産党市議団・宮川雅之議員が提出者となり、賛成議員5名の連名の上、本会場で提案しました。
議員提案の議案のため、まず提出者(私)から提案理由の説明を行い、自民党の二人の議員からの質疑に答えました。
その後、反対討論に自民党、公明党、刷新クラブ、保守無所属の会が行い、賛成討論に民主党と無所属の会、自治みらい、共産党が立ち、全ての会派からの賛否が述べられました。
結果は、賛成13票、反対17票で否決となりました。
この状況は、6月議会での市民請願「国会での慎重な審議を求める意見書の提出を求める」ものと、ほぼ同じ構造となりました。
6月の時点では衆議院で審議中でしたが、強硬採決によって、法案は参議院に送られ審議されていますが、77回もの審議ストップ(衆議院では110回)が頻発し、政府が説明すればするほど論議が混乱しています。
これを反映するように、私も参加しましたが、8月30日には、安保法制に反対する市民集会が国会前で開催され、約12万人を超える市民が集まり、全国規模では300か所で100万人が声を上げています。
学生団体シールズ等の呼びかけに応じて参加した市民は、若者は勿論、子どもの手を引いたママ達やサラリーマン、高齢者や高校生、中学生、そして小学生にまで及んでいます。
しかも、政党や政治団体の支持や動員によるものでなく、市民が自分の意志で参加していることは、これまでにはない光景でした。
同時に一日だけの運動に留まらず、この間連続して取り組まれており、現在でも更に広がっています。
また、元最高裁判事や元内閣法制局長官を始め、9月には元最高裁長官までもが法案を違憲と指摘しています。
更に、安全保障関連法案に反対する学者の会(上野千鶴子東大名誉教授を始め69名の学者の呼びかけ人)は、8月30日の時点で13、647名が賛同声明を出しています。
越谷市でも、7月26日、8月23日の両日越谷駅東口広場を会場に、それぞれ350人程の市民が反対を訴え集まりました。
この市民集会とは別に、8月25日の夕方越谷駅東口で、6月の市民請願に賛成した会派、自治みらい、共産党市議団、民主党と無所属の会(個人参加)の3派の有志議員による街頭演説会を9人の議員で開催しました。
地方議会では、全体で331議会での意見書の採択が行われおり、その内訳は賛成は6議会に過ぎず、慎重は181議会、反対は144議会となっており、実に慎重、反対の合計は全体の98%に達しています。
安保法案は外交、防衛政策の変更ではなく、根幹は立憲主義と民主主義の問題
何故これほどまでに、年齢や地域や性別を超えて反対の声が広がり続けるのかは、戦後70年間に渡り、国会や政府を始め学会や市民の中で蓄積されてきた民主主義が機能不全になろうとしているからです。
また権力行使を縛ってきた憲法を、権力者(内閣や国会議員)自身がその縛りを解釈でゆるめてしまう反立憲主義、非立憲主義が横行することへの不安や危機感に立つものです。それは、戦前の愚かな戦争への道を許してしまったことを、二度と繰り返してならない決意の表れとも言えます。(合同街宣活動)
何故慎重な審議にも反対するのか、市民から批判が続出
安保法制の審議は、参議院に移っても依然として市民間に賛成の動きが広がるどころか、市民の当事者意識を基盤としながら、自分の頭で考え、それぞれが置かれた位置から今何をしなければならなのか言動が拡大するにつれ、ますます反対が増え続けています。
逆に言えば、推進する政府自民党や公明党は、賛成の与論を形成し、法案成立が目的ではなく、成立後に起きる万が一の事態を含めて様々な紛争時に機敏に対応するように、市民の協力と自覚が必要となります。
そうでなければ、市民の支持なく自衛隊員の海外への派遣は、命を懸ける基盤がないことを意味します。また国内での原発や石油コンビナートや市街地へのテロへの対応や未然防止での市民意識が希薄になる、と言うことにもなりかねません。
その意味では、政府与党は徹底して、反対する市民への説明と説得が不可欠であり、「慎重な審議を求める意見書」に真っ先に賛成する立場にある、と思います。
また、立憲主義が破砕されようとしているのですから、地方議員と言えども憲法によって、その権力行使は厳格に規定されており、
真摯に向き合えば法案には賛成出来ない立場にあるはずです。
反対討論、すでに国会では十分審議がなされている、早期の成立こそ必要?
しかし、残念ながら反対討論にたった自民党、公明党、刷新クラブ、保守無所属の会からは、この様な視点が欠けているのではないか、との市民の批判が上がっています。
国会での「十分な審議をしている」と言っても、極めて重要な10本もの法案を一つにまとめ、衆議院での審議時間は110時間に過ぎず、1本当たり僅か10時間であり、参議院では60時間です。
何よりも審議の内容の論点整理が進まず、問題点ばかりが目立ってしまい、それによって市民の賛同が広がっていない現状を直視すれば審議時間だけの問題ではないことは明らかです。
「地方議員の役割は、賛成、反対の論点を整理して、越谷市国民保護計画等の具体例を示しながらフラットに市民間の議論をリードしていくこと」(自治みらい・山田裕子議員の賛成討論から)との姿勢こそ、市民に最も身近な地方議員の責任です。
山田議員のツイッター投稿によって審議開始時間が大幅に遅れる
実は今議会での本意見書の審議の開始時間は、当日午後7時頃となり、通常の初日の開始より大幅に遅れて始まりました。
この原因となったのは、山田裕子議員が、8月30日に投稿した自らのツイッターに、議会運営委員会での専権事項である、日程や開始時間の決定(9月1日午前中に開催し協議、決定するもの)を待たずに、開始時間を事前に通知し傍聴の案内をした事を、刷新クラブの議員が問題視した事からでした。
これに対して、自民党の議員から「誤ったツイートによって党員、支持者から問い合わせがあり、不利益をこうむった」として同調する発言がありました。
山田議員は、事前にこの決定を尊重し、議会全体の運営への悪影響を心配して、前日の8月31日には、このツイートを削除していました。
しかし、議会運営委員会では、議会軽視や情報提供のやり方が問題となり、断続的に朝から夕方まで、協議が続けられました。
その結果、山田議員から正副議長への謝罪とおわびのツイートを今後掲載することで最終的には決着し、ようやく審議が始まりました。
また、この日夕方、越谷駅前で予定されていた3派有志議員による「安保法制の意見書」の審議報告の街宣活動も、9月11日(午後6時から、越谷駅東口)に延期されました。