一心太助の天秤棒_2015年7月

6月越谷定例市議会は、約20日間の会期を終えて6月24日に閉会しました。
今議会で賛成、反対に大きくわかれた最大の焦点は、安保法制を巡る市民請願の審査でした。

国会での慎重審議を求める市民請願に、自民党、公明党、刷新クラブ、保守無所属の会が反対し、不採択に
「安保法制の国会審議を十分に行い、今国会での慎重な審議をするように意見書の提出を求めた」市民請願は、6月18日所管の総務常任委員会で、請願した市民2人と紹介議員2人(そのうち一人は、私と同じ自治みらい所属の初当選の山田裕子議員)が、参考人として出席して審議されました。
 参考人から請願書の主旨説明の後、各議員からの質問が続き、これに答える参考人の答弁など、実に3時間にわたる長時間の審議となりました。
 採決の結果、委員会では自民党、公明党は反対しましたが、賛成多数で採択となりました。
 しかし、最終日での本会議場では、賛成討論に私を含む4人、反対討論に4人が立ち、意見が大きく対立し、自民党(代表 野口佳司議員、6名)、公明党(代表 守屋亨議員、5名)、刷新クラブ(代表 松島孝夫議員、4名)、保守無所属の会(代表 大野保司議員、3名)の反対多数で不採択となりました。
(討論は、越谷市議会ホームページの中継録画で視聴出来ます)
 
 安保法制への賛否ではなく、国会論議の慎重な審議にも反対する姿勢に市民の理解を得られるのか
今日に至るまで、多くの市民はこの法案の内容を始め、立憲主義への重大な抵触、個別自衛権行使の範囲はどこまで許されるのか、憲法違反ではないのか、憲法改正での決着が必要ではないのか等様々な観点から、市民への説明も理解も極めて不十分であることは、疑う余地がありません
 安倍総理自身が、位置づけている様に、今回の法案は、戦後70年目の節目であり、時代の大きな転換点です、従って、国会が95日間延長したから、進むと言うものではありません。
 国会はもとより、地方議会での論議が更に必要ですし、何より市民同士での熟議の空間こそが決定的な要件と言えます。
 この点から、市民に最も身近な地方議員が、市民とともに国や地域の今後の在り方を話しあう絶好の機会であり、不採択はこれを否定することに繋がりかねません。
 
「国民保護に関する越谷計画」の論議は皆無
 2004年国は、有事の備えのため「国民保護法」を成立させ、これに基づき全国の自治体では「国民保護計画」を策定しました。
越谷市も“国民保護に関する越谷市計画”を2007年に策定しています。
一旦有事になれば、市民の財産や基本的人権、言論の自由が制限されることになります。
時の権力者や軍隊や警察が、恣意的にこの市民の財産権や人権を侵害することを、法律や各自治体の地域計画を事前に策定しておく事で規制するものです。
同時に、病院や道路や公園、自宅など市民生活にとって必要なものも、市民が最優先にはならないことを意味します。
このため、武力攻撃事態対処法などの見直しを検討するならば、国民保護法ならびに、全国の自治体が策定している“国民保護計画”も見直す必要が出て来るはずです。
何故ならば集団的自衛権の行使を容認し、安保関連法制を整備することにより、これまで想定されていた日本への直接攻撃に対処する個別自衛権の行使に加え、市民の暮らしが脅かされる事態が多方面に渡って拡大することが予想されるからです。
しかし、国会での論議は、この点での説明も論議も圧倒的に不足しています。
勿論、越谷市でも越谷市議会でも、提起さえないのですから、市民はその事実さえ認識できないのは当然のことです。

 全国の地方議会では、反対144、慎重181議会が意見書を政府に提出。
賛成は僅か6議会に

このため、全国の地方議会では、この法案を巡り、331議会(約20%)が国会や政府に意見書を提出しています。
その内訳は、反対は144、慎重に進めるは181となり、賛成とした議会は豊島区を始め都内の6議会に過ぎません。
また、県内議会ではさいたま市、草加市が慎重な審議を求める意見書を全会一致で採択しており、自民党や公明党所属の地方議員も賛成しています。
この中で全会一致で採択した、埼玉県滑川町議会の意見書「安全保障関連法案を憂慮する意見書」では、「世界秩序の安定のため積極的に国際貢献すべきことに多くの国民は理解するだろうが、愚直に外交努力を積み重ねることが重要だ」と強調しています。

安全保障関連法案に反対する学生団体が呼びかけた国会前集会が、子連れから学生、高齢者まで、幅広い世代が歩道にあふれる
学生団体「シールズ」の呼びかけで開催された、国会前を会場とした6月10日(金)夜の安保法制に反対する市民集会は、15,000人以上もの市民が集まりました。
 この間、毎週金曜日の夜に国会前でこの様な市民集会を、18歳から20歳前半の学生が結成した「シールズ」が毎週、継続開催しており、その波はこれまでデモや集会には縁遠かった若者や女性を始め、子育て世代の参加が目立ち始め、更に高齢者やサリーマンの参加が増え続けています。
『戦争法案に反対するハチ公前アピール街宣』SEALDsメンバー20代の女性のスピーチより)
平和といわれるこの日常の中で、なにもかもが用意されている中で、私たちは気づかぬうちに想像力への敬意を失いました。いまあるものすべては、いつの間にか気づかない間に、一瞬で消え去ることができるんだって、そんなことすら忘れきってもう70年間が経ってしまいました。無関心だった大人たちを責めるつもりはありません。ただもうこれ以上、素知らぬふりを続けないでください。
 相手は、たとえ立憲主義を理解していなかろうが、ポツダム宣言を読んだことないと言っていようが、権力者であることに変わりありません。私や私の仲間がこうしてこの場所にこうやって立つことで、どれだけのリスクを背負っているか、きっと想像に難くないはずです。けれど私はこうすることで、私自身が背負い込むリスクよりも、現政権に身を委ねた結果、訪れる未来の方がよっぽど恐ろしく思えるのです。
 もう他人事ではありません。すべての国民が当事者です。想像力を捨て、目先の利益にとらわれ、独裁的な権力者に首を繋がれた、そんな奴隷になりたいですか。私はいま自分の持つすべての可能性をかけて、この法案とそして安倍政権を権力の座から引きずり下ろします。そうすることでしか私の望む、そして受け入れるにふさわしい未来がやって来ないからです。
 4年前の震災で私は被災こそしなかったけれど、それが私に、とてもたくさんのことを教えてくれました。国や権力は助けてくれないんです。どれだけ困ってたって、黙ってたら、手を差し伸べてくれるわけじゃないんです。ただそこに座ってたら、なにか素晴らしいことがやってくる――そんなのはただの幻想でした。
 身を危険にさらして行動をしたからといって、必ずしも自分の望むものが手に入るとは限らない。けれどそうすることで、もしそこに残り1%の可能性でも残っているのなら、私はすべてのリスクを背負って声をあげることをやめません。そして、同じように思ってくれる人がひとりでも多くいてくれることを、心の底から祈っています。