3年連続して過去最大規模の予算額を提案する越谷市長。
しかし個人市民税は毎年減少しているのに?3月越谷市議会が2月25日から3月19日までの日程で開催されます。
毎年3月議会では、1年間の当初予算案が提案、審議されます。今回の平成25年度予算案は、一般会計834億円余、国民健康保険会計等の9会計の特別会計615億円余、市立病院の事業会計115億円余で総合計が1564億円余となり、最大規模の増額予算となりました。
しかし、一般会計の基幹税である個人市民税は、昨年度対比マイナス1,2%の減少となっており、毎年減少傾向にあります。
個人市民税は所得額に対して課税されるもので、越谷市では給与者が全体の8割を占めています。 所謂サラリーマンの市民ですが、所得が減少しているのです。
その原因の第1は、この間構造的不況で給与が下がり続けており、先般戦後最低の平均賃金になったと発表されました。第2は大量の団塊世代が現役を引退し、年金生活者になっていることです。退職前の給与は一般的には最高額だったわけで、これが一挙に下がるため税収に大きく影響しています。 第3に子育て世代を中心として年収が200万円以下の若者が大量に生まれています。しかも生産労働人口の減少時代にはいっており、税金を納めて頂く階層そのものが小さくなっているのです。
つまり、全体の傾向として今後個人市民税が右肩上がりで増え続けていくということは全く想定出来ず、むしろ減っていくことを前提に、どううまく事業を進めていくのか、町づくりを縮小していくのか知恵と工夫が問われています。
さらに、国の借金は1000兆円を超え、越谷市でも1500億円もの累積債務を抱えながらの市政経営が強いられています。
もうこれ以上子ども達にツケを回してはならない、未来を搾取する社会に加担してはならないと、決意するのは普通の市民感覚であるはずです。
ところが、今回の予算案をはじめ市長が4年前に就任されて以来、この課題が改善しているとは言い難い状態が続いています。
今回の平成25年度予算案の歳出では、昨年9月議会、12議会で大きな問題となった第3庁舎建設(約20億円の建設費で、平成27年4月までに完成予定)や本庁舎整備審議会設置(老朽化や耐震化対策のための委員会で、第3庁舎建設後に60億から80億円の建設費を予定)に関連する予算案が計上されています。
しかも相変わらず毎年20個もの新規事業が計上され、この新規事業を含め予算の決定過程では、一般会計予算額834億円に対して予算要求額は951億円余に達しており、依然として要求が増え続けているのです。
この様な財政状況や新規事業の立ち上げや借金返済等を市民に説明し、質問に答え、納得や合意を作りあげていくのが、市長の役割と責任であるはずです。
また、この様な取り組みを通して、市民自身が、地域共同体の一員としての役割や責任を引き受けていく「市民参加」がさらに求められています。
勿論議会にもその責任がありますが、第3庁舎建設や本庁舎整備審議会という、市長提案に問題があれば議会がこれを是正していくことが必要なのですが、実際は自民党、民主党、公明党、共産党の既存政党の会派は、軒並み市長提案に賛成したため原案は可決され、今回の予算案に計上される結果となっています。
市長も「市民参加」としてパブリックコメントや市長への手紙や審議会への公募市民の採用など、制度としては活用しています。
しかし、決定的なことは、市民からただ意見を聞くだけでなく、どの様に政策の決定過程に参加してもらうか、市民同士で対立する意見でもオープンに話す場を提供できるのかが、極めて重要です。
「越谷がどうなっており、どうなっていくのか」その現状と未来への選択肢を示し続けることが出来るのかです。
全ての情報が開示され、利害が対立する市民同士でも一同に介して論議を積み重ねること、当然時間もエネルギーもより以上に必要となります。公共事業やサービスに税金を投入し増やし続ける習慣を止めることになりますから、多くの労力をかけなければ納得は得られないでしょう。