12月議会「辻浩司議員に反省を求める決議」の議決は、言論の自由への著しい制限では?
12月11日に開催された越谷12月市議会は午前10時に始まったものの、終了したのは何と日をまたいだ深夜1時30分でした。紛糾の原因となったのは、自民党市民クラブ代表の野口佳司議員と公明党市議団代表の守屋亨議員が提案者となった越谷市議の「辻浩司議員に反省を求める決議」を巡る激しい議論が展開されたからでした。
この発端となったのは、国会の審議でも大きな問題となった「特定秘密保護法案の強行採決に抗議し、慎重な国会審議を求める意見書」を、議会初日の12月2日に、辻議員(民主党・市民ネットワーク)が議会運営委員会に提案した事からでした。
議会では、議員が意見書を提出する場合は、他の議案が議会に配布される日(告示日)、今回は11月25日までと規定されていたのですが、“緊急の事態”が発生すればこの限りではなく、議会運営委員会(伊藤治委員長・自民党市民クラブ)で協議して本議会で審議するかどうかを決定するものでした。
この“緊急の事態”か、そうでないのかを巡り意見が二分され、辻議員の意見書は、自民党と公明党の反対(つまり緊急性がない、という事)で、それ以外の5会派は賛成したのですが、全ての会派が賛成でない、という事で本会議での審議はしない、と言う結論になりました。
“緊急である”との理由に辻議員は、①意見書の提出期限が11月25日である事は承知しているが、11月26日の特定秘密保護法案は衆議院で可決されたため、物理的に議会運営委員会には提案出来ない。②現在同法案は参議院で審議されおり、国会の閉会は12月6日であり、この期間に意見書を国会に提出しなければ、仮に越谷市議会が議決しても実効性がない。③過去にも公明党が提出した意見書「吉川橋の仮橋の件」でも同様に緊急性があると判断し、先議した前例がある。④従って意見書の賛否は各会派には当然あるが、緊急性がある、という理由で本会議への上程と審議、採決をお願いしたい、とその提案理由を説明しました。
“緊急性がない”という自民党、公明党の主張に市民は納得できるのだろうか
これに対して、議会運営委員会では自民党市民
クラブと公明党市議団の議員が緊急性がないと発言。
その理由として①「先議(議会初日に採決をすること)が必要だから緊急性がない」
②「地方議会が国会に関与するのはなじまない」
③「国会で現在審議中なのだから緊急性がない」
と言うものでした。
しかし、①について、先議(議会の初日今回は12月2日)は、議案が提出されたあとの取り扱いのことで緊急性とは直接関係がありません。
②については、地方自治法第99条で国会に地方議会が意見書を出すことは認められていますし、今日まで数多くの意見書を提出してきた事実に反しています。③については、衆議院で強硬採決(慎重に審議したと自民党議員は言っていますが)後、参議院で審議している最中であり、国会の採決に時間がないので緊急に提出したいとの理由に反対する論拠にはなりません。
辻議員は再三再四に渡り、緊急性がないとする自民、公明の議員に説明と論拠を求めましたが、有効な反論はなく、議会運営委員長は「全会一致」にならないとの理由で意見書は本会議では取り扱わない、との結論となりました。
辻議員のツイッターでの発言に、訂正が求められたが・・・
この議会運営委員会での自民党と公明党の発言と結論に対して、12月2日辻議員は、ツイッターで「「自民・公明の不当な反対で、意見書の提案そのものを阻止されました」と掲載したことから、今度は、自民党、公明党から議会運営委員会や各会派代表者会議で、「越谷市議会の申し合わせである、“議員の広宣活動は客観的事実に基づき、市民に誤解を与えない”との項目に抵触するもので、辻議員は訂正をすべきである」と問題視されました。
これに対し辻議員は①自由民主党市民クラブ・公明党越谷市議団が「緊急性がない」と言える理由を述べていない。②辻議員が更なる意見を求めても、それに応じていない、という2つのことであり、「緊急性がないとする意見として不当に思う」と判断し、「自民・公明の不当な反対で、意見書の提案そのものを阻止されました」と発信したことには、客観的事実に基づいた主観であり、全く問題がないと考える、そして一切訂正や修正には応じられないと、反論しました。
終に、「反省を求める決議」が、本会場で審議 実に8人もの議員が反対討論にたった
自民党、公明党は、辻議員がツイッターの発言に対して訂正や謝罪を求めて、12月5日各派代表者会議で批判、指摘しました。
この代表者会議では、他の会派からは自民党、公明党に同調する意見は少なく、また、辻議員がこれには応じられないとしたことから、議員個人に対する言動への「反省を求める決議」が、異例の内容で自民党、公明党が提出したのが12月11日でした。
また、当日の本会場では、この「辻浩司議員の反省を求める決議」に対して、樫村紀元議員(新政クラブ)から、“この決議を撤回する決議”が賛同議員(私を含む数名)の挙手で提案されたにも拘わらず、議長が、その理由も聞かずに動議が成立していないと発言し、決議を取り上げなかった事から、“紛糾”議会のスタートとなりました。結局、議会運営委員会で協議後、議長が謝罪した上で、この決議を取り扱う事となり採決が行われました。結果は、賛成14名、反対15名で否決されました。
さらに、「辻浩司議員に反省を求める決議」が議題となり、提出者である公明党の守屋議員から提案説明が行われ、それに対する質疑が繰り返されました。
そして、賛成討論に、自民党市民クラブと公明党市議団の合計2名が立ちましたが、清流越谷は、決議には全員が賛成しましたが討論には誰一人も立ちませんでした。
反対討論は、民主党・市民ネットワーク3名、新政クラブ2名、保守無所属の会2名、日本共産党市議団1名の合計8名が様々な角度から反対討論を展開しましたが、全ての議事が終了した時間は12日午前1時を過ぎていました。
議会が開会した午前10時から延々と15時間にわたる審議に、傍聴席には最大時に80名を超える市民が傍聴席を埋めつくし、私が8番目の最後の反対討論にたった午前1時過ぎでも30名ほどの市民が傍聴しておられ、反対討論が終了して拍手までして頂きました。(規則では傍聴者は、拍手はしてはいけない規定に
も拘わらず)
私は反対討論を締めくくるにあたり、18世紀フランスの哲学者ヴォルテールの言葉を引用しました。それは
「私はあなたの意見には反対だ。だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」
採決の結果
反対14名
(新政クラブ) 藤森正信 樫村紀元
白川秀嗣 松島孝夫 武藤智 菊地貴光
(民主党・市民ネットワーク)玉生芳明
大石美恵子 福田晃
(保守無所属の会)江原千恵子 大野保司
小林豊代子
(日本共産党越谷市議団)金子正江 山田大助
反対討論 藤森正信 白川秀嗣 菊地貴光
玉生芳明 大石美恵子 福田晃
江原千恵子 山田大助
賛成15名
(公明党越谷市議団)守屋亨 岡野英美
橋詰昌児 畑谷茂 瀬賀恭子 竹内栄治
(自由民主党市民クラブ)野口佳司 浅井明 伊藤治 島田玲子 服部正一
(清流越谷) 後藤孝江 佐々木浩 橋本哲寿 髙橋幸一
賛成討論 竹内栄治 服部正一
■辻議員は当事者のため、本会議出席や採決に参加することが出来ない。
議第4号議案「辻浩司議員に反省を求める決議」
提出者 野口佳司 守屋亨
賛成者 橋詰昌児 竹内栄治 浅井明
服部正一
当日の議会の様子は、全て議会中継録画で
みる事が出来ます。
また、私の一般質問(12月6日)も同様で
す。
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