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  • 参院選から統一地方選へ

〝いのちとくらし〟の視点から、民主主義のイノベーションへの回路をつくりだそう

●「平成デモクラシー」の終幕  「令和デモクラシー」のはじまり?

●既存政治に対する不満や不信を、民主主義の自己変革・復元力へと転換する回路は可能か

□ 総会のご案内

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参院選から統一地方選へ

〝いのちとくらし〟の視点から、民主主義のイノベーションへの回路をつくりだそう

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【「平成デモクラシー」の終幕 「令和デモクラシー」のはじまり?】

 2022年参院選は、投票日直前に選挙応援中の安倍元総理が銃撃されて亡くなるという衝撃的な事件があったものの、想定どおり自民党圧勝という結果となった。では、何も変わらなかったのか。

「30年くらいの時間の幅で考えたとき、この参議院選挙はすごく大きな節目になるだろうと思います。

1989年の参議院選挙で、当時の社会党が大勝利を収め自民党が過半数割れに陥り、そこから日本政治の変革の模索が始まりました。しかし今回の参院選は、そうした30年あまりの日本政治の転換の模索が壁にぶつかって、終わるという意味を持つのかもしれませんね。

政権交代可能な政党システムという、1990年代以来追求してきたビジョンが、「やっぱり無理でした」という結論になるのかなと。そのあと出てくるのは、自民党一強で、周りにぽろぽろと野党が取り巻いている政党システムでしょうね」(山口二郎 特別寄稿 政治学者が読み解く『野党の現在地』 クローズアップ現代

https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pJQNMz7e30/)

 「7月に投票日を迎える参院選で、これからの時代の政治の姿が現れてくることになると思っています。『ネオ55年体制』なのか『令和デモクラシー』なのか、どのように後世の歴史家によって名付けられるのかは、まだ分かりません。しかし、平成までとは異なる政治がすでに実際に動いています。それが具体的にどのような政治になっていくかを私たちに示す選挙になると思います」(河野有理 朝日6/23)

 二大政党≒二大政治ブロックによる政権交代可能な政治システムをめざした「平成デモクラシー」は、この参院選で幕を下ろしたといっていいだろう。替わって登場する政治システムが「『ネオ55年体制』なのか『令和デモクラシー』なのか、どのように後世の歴史家によって名付けられるのかは、まだ分かりません」(河野 前出)。それは、これから私たちがつくりだしていくものでもある。

 選挙制度は重要な要素だが、その下でどのような政党間競争が繰り広げられるかも重要だ。衆議院は小選挙区と比例代表の並立、参議院も選挙区と比例代表の二本立て。小選挙区制は二大政治勢力の対決を促すが、比例代表制は多党制を促す。

 「令和の政治は、二大政党制実現に向けて政治のエネルギーを集中させる平成の時代から、多党の並立を前提とする政治に変わっていくのかもしれません」(河野 前出)。多党制を前提に、中核政党と小政党の連立政治となるか、自民一強で周りにぽろぽろと野党が取り巻いている「ネオ55年体制」となるか、あるいは・・・

 日本維新の会国民民主党のような、与党の政策に一部賛同するような政党も出てくるように、政権参画を基準にした与党・野党という区分も見直すことになるだろう。政策課題ごとの部分連合といった政党間の連携ができてくるかもしれないし、それらを通じて自公とは違う連立政治の訓練が蓄積されるかもしれない。

「安倍一強」は言い換えれば、平成デモクラシーの下で、「二度と政権交代させない」ことを至上命題にした政治でもあった。TPP参加、電力自由化、幼児教育・高校無償化など、民主党政権の政策をしたたかに継承しながら、「悪夢の民主党政権」というフレーミングで野党との対立を深める手法は、たしかに政権交代の可能性を摘むことには成功したかもしれない。ただそれは同時に、憲法改正のような幅広い合意形成のための土台を大きく棄損するものでもあった。

「国民投票で過半数の支持を得るには、超党派の幅広い合意形成が必須・・・飯尾(政策研究大学院大学教授)は『安倍晋三元首相は政権を維持し続けるために、改憲を犠牲にしてきたとも言えるのではないか』と安倍流改憲の失敗を看破する。・・・(安保法制で)当時の最大野党・民主党とどう接点を見い出すかを探るより、むしろ意識的に突き放して、抵抗野党化させるほうに押しやった。その戦略は、自民党が政党間競争の衆院選で勝ち続けるには得策だったとしても、与野党協調が必要な憲法論議の『共通の土俵』を崩してしまった」(清水真人「憲法政治」ちくま新書)。

参院選勝利で「黄金の三年間」を手にしたとされる岸田政権は、これからどのような方向を目指すのか。ロシアによるウクライナ侵攻、米中対立の激化、経済安全保障、気候危機、核の脅威など、国際環境は複合的な危機に直面している。日本国内もいまだに糸口が見えない長期停滞、深刻さを増す気候危機や少子化など、先送りし続けてきた構造問題は抜き差しならないところまできている。衰亡の道から転換する〝ラストチャンス〟は、「一強」流の政権運営・政党間競争でつかめるのか。

他方で「一強」に対して一部では、多数決民主主義を超える民主主義のイノベーション(合意形成、直接民主主義、自治など)も実践的に育まれてきた。連立政治の時代にむけて、その〝芽〟をどのように広め、鍛えていくことができるか。

「与野党どちらに議席を伸ばしてほしいか」に対して「野党」が42パーセント、「与党」が37パーセントという参院選前の世論調査がある(毎日6/18実施)。「望ましい選挙結果」について「与野党伯仲」が49.4パーセントという、昨年衆院選の調査もある(共同)。こうした民意をくみ取り、反映しうるような連立政治の知恵や作法を、どうつくりだしていけるか。

【既存政治に対する不満や不信を、民主主義の自己変革・復元力へと転換する回路は可能か】

参院選ではSNSなどを駆使した新世代政党が注目された。

山本龍彦・慶応大学教授は、「これまでエスタブリッシュメント層の政治独占によって反映されなかった声が、新世代政党を通じて国会に行き届くようになるという点では、民主主義にとってプラスの側面もある」とする一方、「SNSでの動画やオーディオビジュアル(映像と音声)な手法でユーザーに刺激を与え、アテンション(関心)を獲得していく政治手法は、政治的不安定性と政治的分断を生む可能性がある。これは民主主義にとって確実にマイナスである。現在のところ、こちらの懸念の方が強い」と指摘する(西日本新聞7/27)  

今回の参院選では、与野党ともに比例区での組織内候補の苦戦が目立った。既存政党が汲み取れない「民意の余白」が広がるなか、全国集計される参院比例区は、「尖った」主張をする小政党にとっても議席獲得のチャンスを見出すことができる。「確かに差別的な発言や眉をひそめるような演説も多く、良識的なあり方や政治活動、選挙運動が道義的には求められるが、与野党問わず、既存政治に対する不信感や不満の受け皿として、民意の多様性や多元性を体現していると捉えることもできる」(西田亮介・東京工業大学准教授 西日本新聞7/27)。

 既存政治に対する不満や不信を、民主主義の自己変革・復元力へと転換する回路は可能か。「ヒトラーは人々に『黙れ』と言ったのではない、『叫べ』と言ったのだ」という佐藤卓己・京都大学教授の指摘は至言だが、現代日本のポピュリズムは「叫ぶ」よりも「無力感」や「あきらめ」に覆われている。

 アメリカでは「アメリカを再び偉大に」というトランプに人々が熱狂したが、日本では「五輪や万博、令和版所得倍増計画。ノスタルジーを持ち出して未来を投射しようとしている。『保守すべきものがない保守』」(吉田徹 日経7/28)が蔓延する。どちらも背景にあるのは「豊かな過去」への喪失と没落の恐怖だが、日本の若年層の間では現状の権威を認め、従うことを良しとする権威主義化の傾向がみられるという。「若者の反権威主義化が進む他の先進諸国の例とは対照的だ」(吉田 前出)と。

 「要因の一つは自己肯定感の低さにある。ゆえに日本は先進国の中でも20代の自殺率が高い。自己肯定感が低いと、大多数の意見や共同体のあり方を否定しきれない。失敗や試行錯誤を許してこなかったツケともいえる」(吉田 前出)。「失われた30年」は個性や多様性、自己決定が称揚される一方、それらは「市場で評価されるかぎりにおいて」という新自由主義が浸透した30年でもあった。コスパが重視されれば、失敗や試行錯誤は無駄という烙印を押され、社会からも孤立することになる。

拡大自殺(いやな言葉だが)と言われる事件の背景には、こうした社会構造があるのではないか。宗教という要素はあるものの、安倍元総理を銃撃した犯人の境遇は、京都アニメーション放火事件の犯人と似通ったところがある。家庭環境や生い立ちに不条理を抱え、経済的にも困窮している人が破滅的な絶望に走る前に、それを止めるものが社会のなかにない。「何が彼をそのような行動に掻き立てたのか。(南ドイツ新聞)ハン記者は、『彼が殺人犯になったのは、その不安定な人生がどうなるのか、誰も疑問にせず、気にかけなかったからだ』と述べる」(「安倍元首相を殺したのは、日本人の社会への関心の弱さ、弱者への救済の少なさだ」 クーリエ・ジャポン

https://courrier.jp/news/archives/294511/)

銃撃事件を「民主主義の危機」というのなら、こうした社会構造にこそ真剣に向き合うべきではないか。(そして岸田総理は「民主主義を守る決意」と言うのであれば、なぜ国葬なのか国会できちんと議論すべきだろう。 宮間純一「国葬はむしろ「民主主義の精神」と相反する制度」 PRESIDENT Online 

https://president.jp/articles/-/59690)

秋葉原での殺傷事件も派遣切りが発端となった。その死刑囚に刑が執行されたのは、相模原の障がい者施設での殺戮事件の日だ。「格差や貧困といった課題に、社会や政治が対応できなかった結果だ。元首相の事件も、旧統一教会の問題の追及は必要だが、不幸があってもなお生きていける社会なら違った。秋葉原事件以降の一連の事件はつながっている」(中島岳志・東京工業大学教授 朝日7/27)。

 

自分の人生は自分がオーナーだからこそ、誰もが失敗や試行錯誤ができるようなセーフティーネットが不可欠だ。閉鎖性と同質性を求めない共同性、排除と同化に抗する連帯を社会のなかに埋め込むために、〝いのちとくらし〟の視点から民主主義のイノベーションへの回路をつくりだそう。

(「日本再生」519号 一面)

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「がんばろう、日本!」 第11回総会【会員限定】のご案内

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参院選の総括・分析を軸に「総会」を、オンラインにて開催します。【「がんばろう、日本!」国民協議会 会員限定】

第11回総会

8月7日(日) 13時から17時

ZOOMにて (事前登録制)

申し込みは

ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp まで

締め切り 8月5日 18時

8月6日に、申し込みのあったアドレスにZOOMのURLをお送りします。

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519号には、大野・埼玉県知事のコロナ対策についてのインタビューを掲載していますが、下記は「医療と社会」という専門誌に掲載された、大野知事の論文です。第五波までの対応が体系的に整理されています。参考まで。

埼玉県から見たCOVID-19対策 (jst.go.jp)

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