メルマガ♯がんばろう、日本!         №294(23.2.1)

「がんばろう、日本!」国民協議会

がんばろう!日本!! 国民協議会

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Index 

□ 民主主義と自治の実践的深化が問われている

人権民主主義・ジェンダー平等・安全保障etc

●これ以上、未来を失わないために

●人権民主主義、ジェンダー平等を地域自治から

●安全保障政策の大転換で問われる説明責任・民主主義

□ 総会のお知らせ

□ 囲む会(東京)【会員限定】のお知らせ

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民主主義と自治の実践的深化が問われている

人権民主主義・ジェンダー平等・安全保障etc

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【これ以上、未来を失わないために】

少子化が加速している。2022年の出生数は77.1万人程度と80万人を割ると推計される。これは、2017年に国立社会保障・人口問研究所が示した将来推計での2022年の出生数、85.4万人(出生中位前提)を下回る。

 岸田総理は「異次元の子育て支援」を打ち出し、自民党は児童手当の所得制限撤廃を主張する。しかし、そもそも民主党政権の「所得制限なしの子ども手当」をバラマキと猛批判、所得制限をかけたのは自民党だった。NHKの討論番組で、岡田・立憲民主党幹事長からそのことを批判された茂木・自民党幹事長は「反省」の弁を述べたが、問題の根は深い。

当時(2011年)、自民党は機関紙で「所得制限を設けることにより、民主党の「子どもは社会で育てる」というイデオロギーを撤回させ、第一義的には子どもは家庭が育て(中略)という我が党のかねてからの主張が実現」と述べている。

(「子ども手当」廃止の合意について | 自由民主党https://www.jimin.jp/news/policy/130217.html

2011年はまだ、第二次ベビーブーマー世代が30代後半だった。ここで「子どもは社会で育てる」という方向への政策転換が始まっていたら、今日のような少子化の急加速は抑えられた可能性もある。しかし「第一義的には子どもは家庭で育てる」という政治のメッセージが強化された。

そしてどうなったか。OECD(経済協力開発機構)のデータベースでは、「50歳の時点で子供がいない=生涯にわたって子供を持たない女性」の割合が、日本は27.0%(2020年)と先進国で最も高い。これはフィンランド(20.7%)やオーストリア(20.06%)、スペイン(18.40%)を大きく上回っている。女性の4人に1人が、生涯にわたって子供を持たない選択を(自発的/非自発的に)していることになる。

背景のひとつに、価値観の多様化→女性のライフコース・選択肢の多様化があるのは確かだろう。しかしやはり非正規・不安定雇用などの生活の問題や、ワンオペ育児などのジェンダー不平等の構造が大きな要因になっていることは間違いない。

前出の討論番組で小池・共産党書記長は、「異次元の子育て支援を言うのであれば、異次元のジェンダー平等社会にしていく事を併せてやらなければ少子化は解決しない」と述べた。まさにここを転換しないかぎり、私たちはさらに未来を失い続けることになる。

〝所得制限なし〟の子育て支援は、ようやく自民党も受け入れざるを得なくなった。しかしその間に失ったものは? 世論の多数が容認している選択的夫婦別姓も、永田町の多数派は棚ざらしにしたまま。こうして足踏みしている間にも、次世代からは痛切な声が上がっている。

 緊急避妊薬。避妊に失敗したり性暴力被害を受けたときになるべく早く服用することで、高い確率で妊娠を防げる薬だ。90ヵ国以上で、処方箋なしに数百円~数千円で薬局で入手できる。しかし日本では薬局販売(OTC化)は認められておらず、価格も高価だ。以下は、OTC化検討会議へのパブリックコメント。

「同級生と「子どもを産んで育てていける気がしない」とよく話します。私たちは30歳になりました。現代で一番結婚し子どもを産む世代です。けれど実際の私たちは、子どもを産み育てることに前向きになれません。金銭面の問題、共働きで子どもを育てる困難さ、そもそも妊娠すること自体、上司や同僚から嫌な顔をされる現実。そして何より「この国で生まれることは子どもにとって幸せなのだろうか?」その思いが大きなハードルになっていると感じます。

少なくとも私は、今回の緊急避妊薬スイッチOTC化さえも実現されなければ、日本に絶望して、この国で子どもを産むのはやめようと思います。子どもにこの絶望的な国で生きて欲しくないからです。

性交同意年齢の問題、LGBTQ+の権利、選択的夫婦別姓、性教育の充実など、変えていかなければならない課題は山積みです。まずは、緊急避妊薬のスイッチOTC化を実現し、そこから緊急避妊薬の無償化(最低でも低価格化)という風に実現して行きましょう。過去は変えられませんが、今ここからは変えられます。子どもを産み育てるに値する国だということを私たちに示してください。」

「この国で子どもを産むのはやめようと思う」緊急避妊薬議論で起きた切実な声(福田 和子)
厚生労働省が2023年1月31日までにパブリックコメントを募集しているテーマに以下のものがある。「「緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る検討会議での議論」に関する御意見の募集について」。では、これまで緊急避妊薬とは一体どういうもので、世界ではどのように用いられ、入手できるようになっているのか。そして日本でいま議論されてい...

 社会の変化や多様性を抑え込む政治から、それに応答する政治への転換は待ったなしだ。

これ以上、未来を失わないために。

【人権民主主義、ジェンダー平等を地域自治から】

世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダーギャップ指数。2022年に日本は146ヶ国中116位。先進国で最低なのは言うまでもないが、アジアのなかでも最下位に近い。ジェンダーギャップ指数は、経済、教育、健康、政治の4分野で14項目から算出される。日本は教育や健康では高い順位を誇るが、政治分野での遅れは深刻だ。

一方、連続して1位となっているアイスランドも元々は男性優位の社会だったという。転機は1975年の女性たちのストライキ。国中の女性が家事や育児、仕事を離れ、町へ繰り出した。男性や若い世代の一部もサポートした。これをきっかけに、男性たちは女性なしでは社会が回らないことをつきつけられ、政治の世界でも女性候補の擁立が進んだ。女性の社会進出に伴って、一人当たりGDPも右肩上がりに伸びている。

女性の政治参加が進むことは政策的にも良い影響を与えている。「自治体レベルでも女性の政界進出は進んでいる。それに伴って、児童福祉や社会保障が充実しました」と駐日大使は述べている。

アイスランドが、ジェンダーギャップ指数11年連続トップ。そのきっかけは、1975年の出来事だった。
もともとは男性優位な社会だったというアイスランドで、どのように女性の政治参画が進んでいったのか。エーリン・フリーゲンリング駐日大使を訪ねた。

このインタビューで日本へのヒントを尋ねられた駐日大使は、「まず指摘したいのが、男女平等の問題を人権問題と捉えている点でしょう」と言う。言い換えると、人権ということをどれだけ自分のものにしているかが、私たちに問われているということだろう。

「日本人はなぜ「人権」という言葉が苦手なのか」という対談で、藤田早苗氏と谷口真由美氏は重要な問題提起をしている。https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/interview/fujita_taniguchi/22307

藤田氏は、人権と思いやりがごっちゃになっている点が、日本で人権を語るときのいちばんのネックだ」、「道徳と人権の大きな違いは、道徳は場所や文化、時代によって変わる相対的なものですよね。対して人権は、すべての人間が生まれながらにもっているもので、さらに思いやりと違って、政府が実現する義務を負っているものです」、「人権には闘争的な側面があります。たとえば人権が侵害されている場合は、権力と闘って獲得していくという側面があるんですが、これを日本人は嫌がるんです。だから日本では人権が嫌がられるんだと思います」と述べている。

アイスランドでも、男性優位社会で反発を招く恐怖を抱えながら女性たちは立ち上がったと大使は述べている。人権は与えられるものではなく、闘い取るものだ。人権は思いやりと違って、実現する義務を政府が負っているなら、政府にそれを実現させる責任が私たちにはある。


 先の駐日アイスランド大使のインタビューでは、女性の政治進出にともなう政策効果、とくに自治体における社会政策の充実が挙げられているが、日本でもそれは同様だ。

全国1741自治体のうち、女性が首長を務めているのはわずか43市区町村だけ。女性の政界進出を阻む分厚い「ガラスの天井」の存在は言うまでもないが、女性首長へのアンケートからは、男性目線とは違う施策の効果や、女性首長が少ないことによる〝損失〟が指摘されている。以下https://www.47news.jp/8818545.htmlより。

「政治に女性の参画が少ないことが、社会にどんな不利益をもたらすのだろうか。

 この点をアンケートで尋ねると、女性首長が少ないことで社会が抱えるデメリットやリスクについて、「ある」と答えた人は31人に上った。

懸念の一つは、政策立案の視点や施策が偏ってしまうことだ。

「女性が参画しにくい地域社会やまち、制度ができてしまう。結果として、女性が暮らしにくい地域になる」(藤田明美・新潟県加茂市長)  

「現実の女性ではなく、男性が想像する女性像を前提に施策が決まる」(山崎晴恵・兵庫県宝塚市長)

「家庭を顧みない男性しか首長になれないのでは、多様な人に配慮する政策は生まれない」(内藤佐和子・徳島市長)」。

また、兵庫県芦屋市の伊藤舞市長は「現在の少子高齢化問題は、政治の場に女性がいなかったために手立てが出来なかったと考える」と強調している。

青森県外ケ浜町の山崎結子町長はこう言い切った。「女性を社会で生かしきれていないのは、人口減少の中でリスクしかない。外から見れば、女性がいない組織=閉鎖的で進歩がない、いまだに女性は常に男性を立てて下働きする存在であるべきと考えているという風に思われる。それが嫌で、都会に出たがる若い女性は多い」。

片や地方政治のフィールドでは、2010年代から世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党系議員によって「家庭教育支援法」の制定を求める意見書の採択や、家庭教育支援条例の制定が進められている。まさに「子どもを社会で育てる」のか、それとも「第一義的には子どもは家庭が育てる」のかという攻防の最前線であり、社会の多様性に応答する政治への転換の最前線でもある。

人権民主主義、ジェンダー平等を地域自治から実現していく。統一地方選をその一歩としよう。

【安全保障政策の大転換で問われる説明責任・民主主義】

 「国家としての力の発揮は国民の決意から始まる。本戦略を着実に実施していくためには、国民が我が国の安全保障政策に自発的かつ主体的に参画できる環境を整えることが不可欠だ」。昨年末、岸田政権が閣議決定した国家安全保障戦略ではこう述べられている。

しかし反撃能力の保有をはじめ、防衛政策の大転換については、限られたメンバーでの会議を経て閣議決定、日米首脳会談での対米「公約」と、既成事実化が先行している。国会での議論はようやく始まるが、国葬のときもそうだったように、「ていねいな言葉」で同じことを繰り返すだけなら「ていねいな説明」とは言い難い。方針を決めてアメリカに報告し、世論にも既成事実化し、国会はそれを追認する形式にすぎないなら、「国民が我が国の安全保障政策に自発的かつ主体的に参画できる環境を整える」という政府の責任は放棄されたことになる。それで乗り切れる局面なのか。

 これまでは憲法9条との兼ね合いで、政府は常に「巻き込まれるリスクはない」と、繰り返し強弁してきた。安保法制しかり、自衛隊のイラク派遣しかり。だが「台湾有事」や「反撃能力(ミサイル配備)」ではそうはいかない。4年前小銃弾を保管すると説明していた駐屯地に、今になってミサイルを配備するような、住民への説明を逃げて既成事実化を押し付けるやり方をいつまで続けるのか。

 TBSキャスター、松原耕二氏はhttps://okiron.net/archives/2711で、次のように述べている。

 ロシアの軍事から世界の安全保障を見続けてきた小泉悠さんは、日本の安全保障には哲学がないと指摘する。たとえば南西諸島へのミサイル配備をめぐって、私の担当する番組でこう語った。

「大きな国家という括りで言えば日本のためと言えるかもしれない。しかし実際にそこで暮らしている人からみると、基地がなければ攻撃されないんじゃないかと思うのは、否定してはいけない素直な感情だと思う。私はミサイルを置かなければならないと思う。南西諸島防衛はやらないと、有事のときに中国の海上優勢、航空優勢の下で戦わなければならなくなる。だからこそ、何のために置くのかを住民レベル、国民レベルで議論しなくてはだめだと思う」

 そう言ってから、さらに続けた。「ウクライナの戦争で明らかになったのは、政府のやることを最終的に国民がどのくらい支持するかが、危機の時にはものすごく大切だということ。ウクライナがあれだけロシアにやられながらそれでも戦っているのは、政府と国民が覚悟を共有しているからではないか。一方のプーチン大統領が動員令をなかなか出せないのは、戦争の大義を国民に説明できないからですよね。同じようなことが日本でも起こりえないか、非常に心配です。リスクはある、リスクはあるけど、こういう理由で置かざるを得ないんだと説明すべきだし、そういう意味で、日本の安全保障に哲学が必要だと思う」

もちろん「台湾有事」についても、現実はいくつかの可能性の束であり、そのなかのひとつだけを取り出す「これしかない」という視野狭窄は、一番危険だ。外交も安全保障も、多様な視点や可能性を常に検討しておかなければならない。そのためにも説明責任と十分な議論が不可欠だ。

 「国民負担という痛みがあるからこそ、本当に必要な防衛力が積み上がります。国債という麻薬のようなものを平時に使えという主張があることは信じられません。歴史的にも、いまのウクライナやロシアもそうですが、本当の有事では政府は嫌でも大量の借金をしなければいけません。平時は歳出改革以上の分は、税金で支えて頂くしかないのです。でも、だからこそ1円たりとも無駄にしてはいけないし、後ろ指をさされることがないように、国民への説明責任を果たさないといけません」(香田洋二・元海上自衛隊自衛艦隊司令官 朝日12/23)。こうした説明責任が果たされなければ、現場は実効性を無視した〝絵にかいた餅〟に振り回される、と香田氏は警鐘を鳴らす。

「台湾有事」は「有事ありき」ではなく、政治、経済、軍事、社会、民主主義などの総合戦略で抑止することに全力を尽くさなければならない。そのためにこそ説明責任と民主的な議論が不可欠なのだ。そして台湾有事を戦略的に抑止することは、「経済大国」の地位を降りたわが国のアジアでの新たな立ち位置の可能性を切り開くことでもあるはずだ。

 憲法と日米安保を対立軸にした、思考停止ともいえる議論を転換すべきときだろう。

(「日本再生」525号 一面より)

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第13回総会のお知らせ

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下記のとおり、第13回総会【会員限定】を開催します。ぜひご参加を。

2月5日(日) 13時から17時

市ヶ谷事務所

オンライン配信については、以下のとおり。

申し込み先 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp

締め切り  2月3日 18時

2月3日18時以降に、申し込みのあったアドレス宛にZOOMのURLをお送りします。

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第211回 戸田代表を囲む会 【会員限定】

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第211回 戸田代表を囲む会 【会員限定】

3月21日(火祝) 13時から15時

ゲストスピーカー 鵜飼健史・西南学院大学教授

「民主主義を機能させる」(仮)

「がんばろう、日本!」国民協議会 市ヶ谷事務所

会員/2000円  同人/1000円

*「政治責任を考える 民主主義とのつき合い方」(岩波新書)の著者・鵜飼先生に、お話しいただきます。統一地方選を間近に控えた時期ですが/だからこそ、改めて自治体選挙と民主主義について考えたいと思います。

*オンライン配信(予定)については、改めてお知らせします。

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